爆心地

金髪男に拉致られたという同じ境遇の赤の他人と同じ部屋で何もせずにいるのはかなり辛い。食うか寝るかしか無い状況はある意味ペットか囚人のようだ。おまけに時計が無いからどれだけ時間が経過したのかも分からない。
「なんかさぁ・・・1分がやけに長いっつーか、どんだけ時間が過ぎたのか分かんないっつーか？」
「そうだな」
「あのキンパ欲しい物あったら言えって言ってたけどさ、どんな物でも用意できんのかな」
「さすがになんでもは用意できないだろ。」
「・・・やっぱなー。っていうか筋トレ趣味なの？」
することが無さ過ぎて俺は暇つぶしに腹筋してる所だった。
「何もしないでいたら身体がなまるだろ。プヨプヨの腹なんて冗談じゃないぞ」
「その顔で腹筋バッキバキでも怖いけどなー」
「どういう意味だ」
「童顔だって意味。実際年下かと思ってたもん。」
年上だと判明してからも態度変わってないけどな。とは言わないでおく。
「それはどうしようもない問題だろ。」
「まぁたしかにね・・・。今の状況と同じぐらいどうしようもないな」
改めて自分の状況を考えると気分が滅入る。
「はぁ～・・・暇すぎる。暇すぎて死ぬ。あのキンパ野郎は俺らをどうしたいんだ」
「さぁな？」
「今度現れたらあのキンパむしりとってやる・・・」
「髪の毛をむしるのは勘弁して欲しいね」
いつの間にか金髪男が部屋の入り口に立っていた。
「気分はどう？」
「最悪だ」
錦と俺の声が見事にハモった。
「暇すぎるんだけど。何もすることが無くて辛いんだけど」
「何か欲しい物でもあるの？」
「ネトゲできる環境」
「悪いけどそれは無理だなぁ」
「最新のゲーム機でもいい。あと大画面のテレビ」
「それぐらいなら用意してあげるけど」
金髪男は部屋を出て行って、すぐに戻ってきた。いつの間に用意したのか分からないが、錦が要求した物を部屋の中にセットし始めた。
「これでいいの？」
「・・・」
「あれ？気に入らない？」
「ほんとに用意するとは思わなかった」
「もしかしてボクを試した？」
「こんなことするヤツだから、どうせ何もしちゃくれないと思ってた」
「ひどいなぁ。欲しい物ぐらい用意してあげるよ？」
「人をダメにするソファとか、ハーゲンダッツをトラック1台分とか、プラネタリウムとか言っても用意できんの？」
「できるけど、欲しいのソレ？」
錦の欲しい物ってそういうものなのかと思いながら聞いてたら、金髪男が俺にも何か欲しい物はないかと聞いてきた。
「カット練習用のヘッドと鋏一式」
「そんなのどうするの？」
「やっておかないと腕が鈍る」
「いいじゃない。もう誰かの髪を切ることもないんだから」
「あんたなんかに頼んだ俺がバカだった」

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お前の左手のそれは指輪じゃなくて首輪だろ

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目が覚めたら何故か同じベッドに錦が入ってきていた。
「おい・・・どういう状況だ」
「だってこの部屋寒いんだよ・・・」
確かに窓もなく暖房設備も無いこの部屋は若干寒い。しかも壁も床もコンクリでできているからなおさらだろう。
「だからってなんで俺のベッドに・・・」
「熱源があんたしかいなかったから」
「人を湯たんぽ代わりにするな」
「部屋が寒いのが悪いんだ。もんくならあのキンパに言えばいいんだ」
そうこうしていると金髪男が部屋に入ってきた。
「仲良くなったみたいだね。」
「寒いから仕方なくだ」
「っていうかいつまでこんなこと続けるつもりだよ？」
「ボクが飽きるまで」
「はぁ？」
飽きられたらどんな風に扱われるのか考えると怖くなる。最悪のパターンを想像して、背中が寒くなった。
「俺達は世間では行方不明ってことになってるしな・・・最悪このまま死んでも誰も気づかないだろうな」
「心配しなくても殺したりしないよ。死んじゃったらそれで終わりだからね。そんなの面白くないし」
「人をなんだと思ってるんだよ？！」
錦は今にも殴りかかりそうな勢いだ。
「違うよ。君たちはここに来た時点で人間じゃない。」
「勝手なこと言いやがって・・・」
「どうせ喋る犬ぐらいにしか思ってないんだろ」
「どっちかっていうと君は猫っぽいけどね。いいかげん名前教えてくれないと、二人いたら呼び分けるのが大変だよ」
「いっそシロとクロでいいんじゃねぇの」
錦が投げやりに言った。たしかに錦は黒髪で俺は白髪だが、それじゃまるっきり犬と猫みたいだ。
「安直過ぎる名前だなぁ」
「別にいいだろ。どうせあんたにとってはただの記号みたいなもんなんだから」
「名前は大事だよ」
「あんただって一度も名乗ってないじゃん。別に知りたくも無いけど」
「ご主人様って呼べばいいんだよ」
俺が名前を聞いたときと同じ反応が返ってきた。
「そう呼ばれたかったら、メイド喫茶にでも行ってればいいじゃん」
「メイドなら間に合ってるよ」
「はぁ？」
「どうせ俺達を連れてきたみたいな方法で連れてきたんだろうな・・・」
「違うよ。彼女たちは自分から来たんだから。」
「どんな方法使ったか知らないけど、どこまでも犯罪臭いヤツだな・・・」
「誰にも捕まらないけどね」
一体その自信はどこから来るのだろうかなどと考えたが、考えた所で分かるわけもないから考えるのをやめた。

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目が覚めたら何故か部屋の荷物が増えていて、俺と同じような状況のヤツがもう一人増えていた。
「おはよう。気分はどうだい？」
金髪男が部屋に入ってきた。もう一人の方はまだ眠っている。
「こいつはなんだ・・・？」
「一人じゃ寂しいだろうと思ってね」
「何が悲しくて知らないヤロウと二人きりで部屋にいなけりゃならないんだ」
長い黒髪と顔だけ見てれば女に見えないことも無いが、残念なことに体型は完全なる男だ。生憎そういった趣味はない。
「気に入らなかった？」
気に入るとか気に入らないとかの問題じゃない。
「・・・んぁ。」
もう一人の方が変な声を出しながら目を覚ました。
「おはよう。」
「・・・？・・・！」
最初にここに入れられた時の俺と同様に、何が起きたのか分かってないといった顔で部屋の中を見回している。
「ここどこ？あんた誰？っていうかこの状況なに？」
「そこの彼が一人じゃ寂しいだろうと思って来てもらったんだ。仲良くしてね」
「へぁ？どういうこと。っていうかその人誰。なんで俺？」
「君のことを気に入ったから」
「答えになってない。何これ痛っ・・・犯罪じゃないのこれ。」
「問題ないよ。」
「ありまくりでしょ。拉致監禁してる時点で犯罪じゃん。そっちの人も拉致ってんなら二倍じゃん」
俺のときと同様、金髪男はヘラヘラしてるだけだ。
「んじゃ。必要な物があったら言ってね」
金髪男は出て行った。なにから話せばいいのか分からなくて気まずい沈黙がおとずれた。やがて、沈黙に耐えかねたのかロン毛男が話しかけてきた。
「あんたも拉致られて来たんでしょ？」
「まぁ、大体似たような経緯だろうな」
「俺佐藤ってんだけど、あんたは？」
「鈴木」
「日本で多い名前じゃん。まさか一郎って名前じゃないよね？」
「一って書いてはじめって読む。」
「そうなんだ。ちなみに俺は錦っていう」
「さくらんぼか」
「一時期あだ名がチェリーだった時もある。めっちゃ嫌だった」
「あぁ・・・」
「そういえばあんたいくつ？俺１９なんだけど」
「２７」
「そうなんだ。俺専門学校行ってるんだけど、あんたは何してる人？」
「美容師」
「へぇ～。俺もそっち系に行きたいと思ってるんだよね。自分の店とか持ってるの？」
「いずれは持ちたいと思ってるけど、今はまだ」
「そっかぁ・・・。っていうかこんな状況じゃ将来がどうこうとか言ってられないよな」
こっちが年上だと分かっても錦は敬語を使おうとしない。というか、使えないんじゃなかろうか・・・？
「はぁ～・・・なんだってこんな目に。っていうかあのキンパ野郎なんなんだよ。意味分かんない」
「俺も分からない」
「こんな鎖つけやがって・・・犬じゃねぇっての」
「あいつは俺らの飼い主にでもなったつもりみたいだけどな。そんなこと言ってたし」
「うわ最悪」

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「そんなに怒らなくてもいいじゃない。」
俺はドアに背中を押し付けて開かないようにしている。金髪男がドアを押し開けようとしているのが分かるけど、ここを移動する気にはならない。あと、めっちゃ腹が減ってイライラしている。
「この状況で怒るなという方が無理だろ」
足につながれた鎖がジャラジャラ鳴っている。ドアの下の部分に隙間があるから、鎖を引きずっていてもドアを閉めることができたわけだが、その鎖を引っ張られると足首に食い込んで痛い。
「引っ張るなバカ。足が千切れるだろ」
「出て来たらいいでしょ」
「ダッツ100個持って来たらな。」
「そんなに食べたらお腹壊すよ」
「いっぺんに食うわけないだろ。」
「分かった。今持ってくるね」
金髪男が部屋から出て行ったようだから、俺も風呂とトイレのある部屋から出た。まさか本気でダッツ100個も持ってくるわけ無いだろうと思ってたら、本気で持ってきやがった。
「アレ？出てきてたの？まぁ、いいや。食べたかったんでしょ？」
目の前にダッツの山ができている。どうすりゃいいんだコレ。自分で言っておいてアレだが、正直なところ今はアイスなんて食べる気になれない。もっと腹にたまる物がいい。もっと言うと炭水化物的な何かがいい。できれば白い米。
「どうしたの？食べないの？」
「定番のしか無いんだな」
バニラとか苺とか、いつでもあるような味しか無い。別に季節限定とかが食べたかったわけではないけどな。
「溶けるよ？」
「スプーンが無い」
「スプーンならあるでしょ」
金髪男が出してきたのは安っぽい木のヘラだった。コンビニでスーパーカップとか買ったら付けてくれるようなヤツだ。俺は露骨に嫌な顔になった。
「仕方ないなぁ」
金髪男はダッツ用のスプーンを出してきた。最初からそっちを出せばいいのに。
「残りはこっちに入れておくね」
金髪男はどこから持ってきたのか分からないコンビニにあるようなアイスケースを部屋に入れてきた。頑張れば人一人ぐらいは中に入れそうだが、入っても楽しいことにはならなさそうだからやめておく。
「入っちゃだめだからね？」
「入らねぇよ」
「ダッツは一日一個までだよ」
「お母さんか」
金髪男は部屋から出て行った。結局アイスしかもらってない。
「おにぎり100個とか言えばよかったか・・・」

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足につけられている鎖を引っ張ってみたが、びくともしない。こんなことならもっと鍛えておくべきだったなんて、考えてみた所で何も変わらない。
「言っておくけど、その鎖象でも千切れないよ」
金髪男は鎖を引っ張る俺を見ながらそう言った。んなこた、分かっている。こんな状況なのに身体は空腹を訴えてくる。
「・・・お腹空いたの？今なんか持って来るね」
金髪男が部屋から出て行った。一体なにを持ってくるつもりか分からないが、ここで大人しくしている他は無い。あらためて部屋の中を観察してみる。金髪男が入ってきたドアの他にももう一つドアがある。鎖でつながれていても、動ける範囲だったから開けてみた。中にはムダに金のかかってそうな風呂とトイレがあった。壁にでかい鏡が付いているのでなんだか落ち着かないが、今の自分がどんな姿なのかを見ることが出来た。
「気に入った？」
いつの間にか金髪男が戻ってきていた。手には皿の乗ったトレーを持っている。
「ヒゲを剃りたいんだが」
「カミソリはあげられないな。」
「別にカミソリ使って攻撃しようなんて思ってない」
「自殺とかされたら嫌だし」
「そんなことするぐらいだったら、とっくに舌噛み切って死んでる」
「とりあえずコレ食べなよ」
金髪男が持ってきたのは牛乳のかかってないコーンフレークだった。
「・・・嫌だ」
「ドライは嫌だった？」
よく見たら猫の餌だった。最悪だ。
「猫の食い物じゃねぇか！」
「けっこう高かったんだけど？」
「そういう問題じゃねぇよ！」
「仕方ないなぁ・・・」
俺は足の鎖でこいつの首を絞めてやりたい衝動に駆られたが、そんなことをしたところで、根本的な解決には何もなら無いのでやめておいた。
「じゃあこっちならいい？」
金髪男が出してきた皿に乗っていたのは、缶詰タイプの猫の餌だった。
「テメェで食ってろ！」
俺は風呂とトイレのある部屋の方に入ってドアを閉めた。本当は鍵でも掛けたい気分だが、残念ながら鍵は無い。
「ちょっとふざけただけじゃないか」
「そんなもん食うぐらいなら、水飲んでた方がまだマシだ」
「ちゃんと用意してあるから出ておいでよ」
「今度はなんだ？犬の餌か？」
「人間の食べる物だよ」
「・・・虫でも食わせる気か？」
「そんなことしないって」
「どうだか」
「意地張ってないで出ておいでよ。お腹空いてるんでしょ？」
かなりの空腹で俺はイライラしている。

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「おはよう。気分はどうだい？」
突然ドアが開いたと思ったら、スーツ姿の金髪男が入ってきた。一瞬外国人か？とも思ったけど、よくみたら顔は日本人だった。目が青いのはおそらくカラコンだろうな。
「聞きたいことは多々あるけども・・・とりあえず、あんた誰だ」
「君の飼い主といったところかな？」
金髪男がにっこり微笑みながらとんでもないことを言った。飼い主？冗談だろう。俺は犬猫じゃない。
「どういう経緯でこうなった」
「君が気に入ったから、飼おうと思って連れてきた」
「正気か？俺には家族も仕事もあるんだ」
「心配無いよ。世間的には君行方不明だから」
金髪男が見覚えのある物を取り出した。俺の携帯電話だ。友達からもらったストラップも付いている。
「俺のケイタイ・・・」
「コレは必要無いよね？」
俺の目の前で金髪男が携帯電話を破壊した。
「なっ？！」
「だってもう、どこにも電話もメールもしないんだから」
「犯罪じゃねぇか」
「心配いらないよ。誰もボクを捕まえられない」
確かにこの状況じゃどこにも助けを求められない。頼みの綱のケイタイも壊れてしまった。それに、目が覚めた時から気になって仕方なかったが、足首に金属製の輪がはめられていて、そこから鎖が伸びている。鎖はベッドの足につながっていて、長さを考えるとこの部屋から出るのは無理のようだ。
「そういえば君の名前聞いてなかったね。呼ぶのに不便だから教えてよ」
「俺の持ち物ん中に名前分かる物も入ってただろ」
「あー・・・捨てちゃった」
「はぁ？！」
「だってもういらないでしょ？」
「金とか身分証とかいろいろあんだろ！」
「いらないでしょ？」
「・・・っ」
「だからさぁ。名前教えてくれなきゃ分からないんだよね」
目の前が真っ暗とはまさにこのことだと思った。

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勇者一行に姫が加わって、新たな目的も加わった。
魔法使い「んー・・・お姫様のおかげで戦闘がだいぶ楽になったよ」
姫「お役に立ててよかったです」
勇者「この調子で魔王の城まで乗り込めそうだな？」
僧侶「・・・どうやらそうもいかないようですよ」
剣士「何があるんだ？」
僧侶「王様にいただいた地図ですが・・・どうやらここら辺一帯の情報が無いらしく、白紙のままなんです」
格闘家「じゃあこの先どうなってんのか分からないッスか？」
僧侶「手探りということになりますね」
勇者「なんかさっきから霧っつーか、ガスが出始めてるしな・・・？」
魔法使い「それに・・・変な音がしない？」
剣士「巨大な何かが移動している音・・・のようだが」
姫「移動要塞・・・でしょうか？」
僧侶「そんなものがあるのですか？」
姫「詳しいことは分かりませんが、要塞に巨大な足をつけたような物が濃い霧の中を歩き続けている・・・といった話を聞いたことがあります。ただの噂である可能性も大きいですが」
剣士「その話なら私も以前聞いたことがある。実際どんな物なのかは分からんが」
勇者「この霧ん中入れば、何か分かるかもな？」
魔法使い「どちらにせよここを突破しなきゃならないのは変わらないんだしね」
勇者一行が濃霧の中を進んでいると、目の前に巨大な要塞が現れた。そしてその要塞には足が付いていて、ゆっくりと移動しているところだった。
僧侶「まさか、このようなものが存在するとは・・・」
格闘家「この速さだったら追いつけそうッスね」
剣士「友好的かどうか分からんが」
姫「偵察を送ってあります。そろそろ戻ってくる頃です」
魔法使い「いつの間に？」
姫「この霧の中に入るときに」
勇者「召喚してる気配なんてなかったのに？」
姫「小型の物なら略式でいけますから」
剣士「ずいぶんと便利なものだな・・・ん？なんか飛んできたぞ」
姫「戻ってきたみたいですね」
姫の所に翼の生えたリスのような生物が近づいてきて肩に乗った。
リス「あの移動する要塞の中には兵士らしい人がいっぱいいたヨ。みんな武器を持ってて、目がギラギラしてたヨ」
勇者「怖いな・・・迂闊に近寄ったら攻撃されるんじゃねぇの？」
リス「この霧の中に魔物がいるって言ってたよ。その魔物と戦ってるみたい」
僧侶「魔物が？」
勇者「戦闘に巻き込まれたらたまったもんじゃないな？」
リス「もうすぐ近くまで魔物が来てるって言ってたヨ」
勇者「そういうことは早く言え！」
要塞の移動する音とは別の、何かが移動しているような音が聞こえてきた・・・
～つづく～

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勇者一行はさらわれた姫を救出したが、姫は姫ではなくて男になっていた。そしてけっこうイケメンだった。
勇者「はぁ、あいつら全然話聞かない・・・」
僧侶「仕方ありませんよ。この方がお姫様であると照明する手段がないですし・・・」
魔法使い「こうなったら他の方法で元に戻るより無いね～」
格闘家「あの魔女が生きていたところで、すんなり元に戻してくれるとは思えないッスから」
姫「（´・ω・｀）」
剣士「突然性別が変われば戸惑うのも無理は無いな・・・。」
勇者「分かるよその気持ち、俺だって元は男だしな」
姫「そうなんですか？私達・・・元に戻れるんでしょうか」
僧侶「方法を探すしかありませんね。」
勇者「俺の場合は魔王さえ倒せばなんとかなるんだけど」
姫「あなた達は魔王を倒すつもりなんですか？」
僧侶「勇者に掛けられた呪いを解くためです」
格闘家「王様に頼めばなんとかしてくれるんじゃないッスかね？」
勇者「あのエロじ・・・王様がなんとかしてくれるか？」
魔法使い「とりあえず、一緒に魔王を倒しに行こうか。お姫様の国の兵士はもうあてにできないし」
姫「で・・・でも、私じゃ足手まといに・・・」
僧侶「なにかできることはあるはずです」
姫「私にできることといえば、召喚ぐらい・・・」
魔法使い「上級魔法じゃん！」
勇者「魔法使いより上なのか？」
魔法使い「召喚士は滅多にいないんだよ～。それに、魔法使いの使う使い魔よりも高レベルな物も出せるし」
姫「そんな立派なものじゃないですよ」
剣士「少なくとも今の我々には無い能力だな。」
格闘家「乗れるようなの出したら魔王の城まですぐ行けるッスか？」
魔法使い「うーん・・・それは無理じゃないかな～」
姫「大人数を移動させるような召喚獣は出したことがないです」
魔法使い「っていうか、魔王の城の近くなんて結界とか、罠とかありまくりでしょ～？たぶん空飛んで行ったら打ち落とされると思うんだよね～」
勇者「その可能性がでかいな。」
格闘家「それじゃ仕方ないッスね」
僧侶「では改めてよろしくお願いしますね」
姫「お役に立てるよう頑張ります」
勇者「・・・なぁ、なんで敬語喋りなんだ？姫なんだろ」
姫「えっと・・・」
魔法使い「別にいいじゃん。本人の喋りやすいように喋れば、ね？」
剣士「これからは仲間だ。遠慮することなど無いぞ」
姫「あ・・・はい」
勇者「じゃあ、性別入れ替わった同士仲良くしようぜ。分からないことがあったら言ってくれよ」
魔法使い「この中じゃ男のこと分かってるの勇者ぐらいだしね～」
勇者「へんな言い方すんなよ。」
剣士「実際問題、体のこととかで分からんことがあっても我々じゃどうしようもないしな」
勇者「生々しいこと言うなって！」

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