爆心地
小心者の小心者による小心者のためのブログ
人の恋路を邪魔する奴は 
馬に蹴られるという伝説の呪いを知らんのか?
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遊牧民のテントにいたはずの勇者はいつのまにか魔王配下の四天王の一人の手によって、魔王の城に連れていかれた。そして、勇者の抜けた魔王討伐隊は勇者を追って魔王の城を目指していた。
僧侶「魔王の城が見えてきましたよ」
魔法使い「うわー・・・見るからに不気味だねー」
剣士「城の前にあるこの森だが・・・妙な気配を感じる」
格闘家「人を寄せ付けない空気みたいなものッスか」
僧侶「でも、ここを抜けないと勇者さんのところには行けませんし」
姫「勇者さん一人を魔王と戦わせるわけにはいきませんから」
剣士「そうだな。」
魔法使い「勇者が無茶なことしなきゃいいけど・・・」
???「もう来たのか、ずいぶん早いのぅ」
森の中から狐の仮面を被った小柄な人物が現れた。
狐仮面「あまり待つのは好きでは無いから、ちょうどよいがの?」
格闘家「あいつ・・・強いッスよ」
魔法使い「見ただけで分かるの?」
格闘家「間合いに入った瞬間にやられそうな・・・そんなかんじがするッス」
剣士「どんな相手だろうと・・・邪魔をするなら切り伏せるだけだ」
剣士が狐仮面の人物に切りかかった。それとほぼ同時に狐の仮面の人物と剣士の間に鴉の仮面の長身の人物が割って入った。
鴉仮面「おぬしの相手は拙者がいたそう」
剣士「なんだお前は・・・剣も無しに私と戦うというのか?」
鴉の仮面の人物の手に黒い羽が集まったかと思ったら、そこから刀が現れた。
鴉仮面「得物ならあるでござるよ。」
狐仮面「仕方ないのぅ・・・ここは譲ってやるわ。さて・・・誰が儂の相手をしてくれるんじゃ?」
格闘家「ここは自分が行くッス。」
狐仮面「なかなか楽しめそうじゃのぅ」
狐仮面の手に白い羽が集まって巨大な扇が現れた。
狐仮面「さぁて・・・久々に暴れるとするかの?」
格闘家「ここは自分らに任せて、僧侶と魔法使いと姫は勇者のところへ行くッス!後で追いかけるッス」
剣士と格闘家を残して僧侶と魔法使いと姫は魔王の城へと向かった。一方その頃勇者がどうなっていたかというと・・・
四天王1「また会ったな勇者」
豪華すぎるベッドの上に寝てたら、どこかで見たような奴が現れた。
勇者「あ゛っ!あの時の・・・四天王?!なんでこんなとこに・・・」
四天王1「ここが魔王様の城だからだよ。」
勇者「なんだって?!」
勇者をさらった角の生えた長身の女が音も無く現れた。
四天王2「あらー?ようやく起きたの?」
勇者「・・・誰?」
四天王2「四天王の一人よ~。」
四天王1「まさかあの場所から勇者をさらってくるとは思わなかったよ」
四天王2「勇者ちゃんの貞操の危機を救ったんだから、ほめてもらいたいぐらいよ~」
勇者「貞操の・・・危機って・・・何が?」
四天王2「まったく危機感ゼロなんだから~あんな野郎ばっかりのところで無防備に寝ちゃって~男はみんな野良狼だっていうじゃな~い?」
四天王1「そういう君も男じゃないか・・・」
四天王2「やだ~心は乙女よ~」
勇者「分かってるのか?俺は魔王を倒すために来たんだぞ・・・」
四天王1「そういうことになってるね。」
四天王2「やだ~勇者ちゃんってば何も分かってないのね~」
四天王1「まぁ、仕方ないだろう。ここら辺のことは我々の口からは言えない決まりだからな」
四天王2「それもそうね~」
勇者「なにコソコソしてんだよ」
四天王1「知りたければ直接魔王に会うことだな」
勇者「直接って・・・お前ら阻止したりしないのかよ?」
四天王2「しないわよ?」
勇者「四天王・・・なんだよな?魔王を守って戦うとかは・・・」
四天王2「戦うだけが能じゃないわよ~。それに、手加減苦手なのよね~うっかり勇者ちゃんに怪我させたら・・・魔王様にお仕置きされちゃうわ~」
勇者「・・・」
四天王1「まぁ、そういうことだ。」
僧侶「魔王の城が見えてきましたよ」
魔法使い「うわー・・・見るからに不気味だねー」
剣士「城の前にあるこの森だが・・・妙な気配を感じる」
格闘家「人を寄せ付けない空気みたいなものッスか」
僧侶「でも、ここを抜けないと勇者さんのところには行けませんし」
姫「勇者さん一人を魔王と戦わせるわけにはいきませんから」
剣士「そうだな。」
魔法使い「勇者が無茶なことしなきゃいいけど・・・」
???「もう来たのか、ずいぶん早いのぅ」
森の中から狐の仮面を被った小柄な人物が現れた。
狐仮面「あまり待つのは好きでは無いから、ちょうどよいがの?」
格闘家「あいつ・・・強いッスよ」
魔法使い「見ただけで分かるの?」
格闘家「間合いに入った瞬間にやられそうな・・・そんなかんじがするッス」
剣士「どんな相手だろうと・・・邪魔をするなら切り伏せるだけだ」
剣士が狐仮面の人物に切りかかった。それとほぼ同時に狐の仮面の人物と剣士の間に鴉の仮面の長身の人物が割って入った。
鴉仮面「おぬしの相手は拙者がいたそう」
剣士「なんだお前は・・・剣も無しに私と戦うというのか?」
鴉の仮面の人物の手に黒い羽が集まったかと思ったら、そこから刀が現れた。
鴉仮面「得物ならあるでござるよ。」
狐仮面「仕方ないのぅ・・・ここは譲ってやるわ。さて・・・誰が儂の相手をしてくれるんじゃ?」
格闘家「ここは自分が行くッス。」
狐仮面「なかなか楽しめそうじゃのぅ」
狐仮面の手に白い羽が集まって巨大な扇が現れた。
狐仮面「さぁて・・・久々に暴れるとするかの?」
格闘家「ここは自分らに任せて、僧侶と魔法使いと姫は勇者のところへ行くッス!後で追いかけるッス」
剣士と格闘家を残して僧侶と魔法使いと姫は魔王の城へと向かった。一方その頃勇者がどうなっていたかというと・・・
四天王1「また会ったな勇者」
豪華すぎるベッドの上に寝てたら、どこかで見たような奴が現れた。
勇者「あ゛っ!あの時の・・・四天王?!なんでこんなとこに・・・」
四天王1「ここが魔王様の城だからだよ。」
勇者「なんだって?!」
勇者をさらった角の生えた長身の女が音も無く現れた。
四天王2「あらー?ようやく起きたの?」
勇者「・・・誰?」
四天王2「四天王の一人よ~。」
四天王1「まさかあの場所から勇者をさらってくるとは思わなかったよ」
四天王2「勇者ちゃんの貞操の危機を救ったんだから、ほめてもらいたいぐらいよ~」
勇者「貞操の・・・危機って・・・何が?」
四天王2「まったく危機感ゼロなんだから~あんな野郎ばっかりのところで無防備に寝ちゃって~男はみんな野良狼だっていうじゃな~い?」
四天王1「そういう君も男じゃないか・・・」
四天王2「やだ~心は乙女よ~」
勇者「分かってるのか?俺は魔王を倒すために来たんだぞ・・・」
四天王1「そういうことになってるね。」
四天王2「やだ~勇者ちゃんってば何も分かってないのね~」
四天王1「まぁ、仕方ないだろう。ここら辺のことは我々の口からは言えない決まりだからな」
四天王2「それもそうね~」
勇者「なにコソコソしてんだよ」
四天王1「知りたければ直接魔王に会うことだな」
勇者「直接って・・・お前ら阻止したりしないのかよ?」
四天王2「しないわよ?」
勇者「四天王・・・なんだよな?魔王を守って戦うとかは・・・」
四天王2「戦うだけが能じゃないわよ~。それに、手加減苦手なのよね~うっかり勇者ちゃんに怪我させたら・・・魔王様にお仕置きされちゃうわ~」
勇者「・・・」
四天王1「まぁ、そういうことだ。」
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Posted on 2014/12/30 Tue. 23:21 [edit]
category: 勇者と魔王
男はみんな 
野良狼!
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勇者一行は遊牧民のテントで一泊することになった。そしてみんなが寝静まる頃・・・
遊牧民3「寝てるみたいだな・・・」
遊牧民4「でも大丈夫なのか?勇者に手ぇ出して」
遊牧民3「勇者っつーから屈強な男かと思ったら可愛い女の子だったしな」
遊牧民4「まぁ人間が来るのも久しぶりだし、女の子見るのも久しぶりだしなぁ・・・」
勇者達の寝ているテントの前に遊牧民が来て中の様子を伺っている。そしてその背後には剣士が・・・
剣士「お前ら何してる?」
遊牧民3「ひぃ?!」
遊牧民4「べべべべつに怪しいことはしてないぜ」
剣士「こんな時間にテントの中の様子を伺ってる時点で充分怪しいと思うが?」
遊牧民3「ほんとに怪しいことなんてしてないって・・・」
僧侶「若い女性が極端に少ないのでもしやと思いましたが、そういうことですか」
剣士の後ろから僧侶が現れた。
格闘家「親切なふりして夜這いしようとしてたッスか!」
僧侶の後ろから格闘家も現れた。
魔法使い「まぁだいたいそういうんじゃないかと思ってたけどねー?のんきに寝てるのは勇者だけだよ」
格闘家の後ろから魔法使いも現れた。
姫「男として最低ですね・・・」
魔法使いの後ろから姫も現れた。
剣士「五体満足でいたければ妙な考えを起こさないことだな。」
僧侶「変なことをしようとしたら・・・分かってますよね?」
姫「切り落としますよ?」
魔法使い「ねじり切っちゃうよ?」
格闘家「すりつぶすッスよ?」
遊牧民3・4「ひぃいぃぃぃぃ?!」
遊牧民は必死の形相で逃げ出した。
剣士「勇者は寝てるのか。危機感の無い奴だ」
僧侶「まぁ仕方ないですね。」
格闘家「とりあえず中に・・・ってアレ?勇者は?」
魔法使い「え?勇者ならそこに寝て・・・いない?」
剣士「まさか・・・このタイミングで攫われた?」
魔法使い「微弱だけど勇者の熱が見えるから、それを辿ればなんとかなりそう」
格闘家「まだそんなに遠くには行ってないはずッス」
一方その頃勇者はどうなっていたのかというと・・・
遊牧民1「全然起きないな・・・」
遊牧民2「まぁ好都合だな。抵抗されたら面倒くさいし」
遊牧民1「・・・にしても、これが勇者か。男じゃなかったのか?」
遊牧民2「勇者の証の痣もあるしなぁ?」
???「まったく困った子ねぇ。こんなあっさり攫われちゃうなんて・・・」
さっきまで何もなかった空間に突然角の生えた長身の女性が現れた。
遊牧民2「誰だ?!」
???「あんた達に名乗る名前なんてないわよ。まぁいいわ・・・魔王配下の四天王の一人よ」
遊牧民1「四天王?!なんでそんな奴がここに・・・」
四天王「あんた達が勇者ちゃんに変なことしようとするから、止めに来たのよ~。」
遊牧民2「なんで魔王の配下が勇者を助けに来るんだ?」
四天王「別に助けるってわけじゃないけど~勇者ちゃんを傷物にされると困るのよ~。勇者ちゃんは魔王様の物だから」
遊牧民1「どういうことだ?」
四天王「まったく見た目も悪けりゃ中身も悪いのね~。」
遊牧民2「なんだとぅ?!」
遊牧民2の攻撃。四天王はヒラリとかわした。
四天王「というわけで~勇者ちゃんはもらうわね~」
遊牧民1「待て!」
四天王「待てと言われて待つ奴はいないわよ~」
四天王の一人と名乗る長身の女性は勇者を抱えてテントの中から消え去った。僧侶たちがテントの前に来たのがほぼ同時で、中に突入した時には遊牧民がいるだけだった。
僧侶「勇者さんはどこですか」
魔法使い「・・・おかしい。勇者の熱がここで途切れてる」
格闘家「どういうことッスか?」
魔法使い「転移魔法を使われたみたい・・・」
剣士「いったいどいつがこんなことを・・・」
遊牧民1「魔王の配下の四天王だっていう角の生えたでかい女が・・・」
遊牧民2「突然現れたと思ったら・・・」
僧侶「そもそもどうしてこの場所に勇者さんがいたのかということですが・・・」
剣士「今はこいつらをどうこうしてる場合じゃないだろう」
格闘家「魔王の配下に連れて行かれたっていうなら、行き先は魔王の城ッスね」
魔法使い「とにかく勇者を追いかけなきゃ」
遊牧民3「寝てるみたいだな・・・」
遊牧民4「でも大丈夫なのか?勇者に手ぇ出して」
遊牧民3「勇者っつーから屈強な男かと思ったら可愛い女の子だったしな」
遊牧民4「まぁ人間が来るのも久しぶりだし、女の子見るのも久しぶりだしなぁ・・・」
勇者達の寝ているテントの前に遊牧民が来て中の様子を伺っている。そしてその背後には剣士が・・・
剣士「お前ら何してる?」
遊牧民3「ひぃ?!」
遊牧民4「べべべべつに怪しいことはしてないぜ」
剣士「こんな時間にテントの中の様子を伺ってる時点で充分怪しいと思うが?」
遊牧民3「ほんとに怪しいことなんてしてないって・・・」
僧侶「若い女性が極端に少ないのでもしやと思いましたが、そういうことですか」
剣士の後ろから僧侶が現れた。
格闘家「親切なふりして夜這いしようとしてたッスか!」
僧侶の後ろから格闘家も現れた。
魔法使い「まぁだいたいそういうんじゃないかと思ってたけどねー?のんきに寝てるのは勇者だけだよ」
格闘家の後ろから魔法使いも現れた。
姫「男として最低ですね・・・」
魔法使いの後ろから姫も現れた。
剣士「五体満足でいたければ妙な考えを起こさないことだな。」
僧侶「変なことをしようとしたら・・・分かってますよね?」
姫「切り落としますよ?」
魔法使い「ねじり切っちゃうよ?」
格闘家「すりつぶすッスよ?」
遊牧民3・4「ひぃいぃぃぃぃ?!」
遊牧民は必死の形相で逃げ出した。
剣士「勇者は寝てるのか。危機感の無い奴だ」
僧侶「まぁ仕方ないですね。」
格闘家「とりあえず中に・・・ってアレ?勇者は?」
魔法使い「え?勇者ならそこに寝て・・・いない?」
剣士「まさか・・・このタイミングで攫われた?」
魔法使い「微弱だけど勇者の熱が見えるから、それを辿ればなんとかなりそう」
格闘家「まだそんなに遠くには行ってないはずッス」
一方その頃勇者はどうなっていたのかというと・・・
遊牧民1「全然起きないな・・・」
遊牧民2「まぁ好都合だな。抵抗されたら面倒くさいし」
遊牧民1「・・・にしても、これが勇者か。男じゃなかったのか?」
遊牧民2「勇者の証の痣もあるしなぁ?」
???「まったく困った子ねぇ。こんなあっさり攫われちゃうなんて・・・」
さっきまで何もなかった空間に突然角の生えた長身の女性が現れた。
遊牧民2「誰だ?!」
???「あんた達に名乗る名前なんてないわよ。まぁいいわ・・・魔王配下の四天王の一人よ」
遊牧民1「四天王?!なんでそんな奴がここに・・・」
四天王「あんた達が勇者ちゃんに変なことしようとするから、止めに来たのよ~。」
遊牧民2「なんで魔王の配下が勇者を助けに来るんだ?」
四天王「別に助けるってわけじゃないけど~勇者ちゃんを傷物にされると困るのよ~。勇者ちゃんは魔王様の物だから」
遊牧民1「どういうことだ?」
四天王「まったく見た目も悪けりゃ中身も悪いのね~。」
遊牧民2「なんだとぅ?!」
遊牧民2の攻撃。四天王はヒラリとかわした。
四天王「というわけで~勇者ちゃんはもらうわね~」
遊牧民1「待て!」
四天王「待てと言われて待つ奴はいないわよ~」
四天王の一人と名乗る長身の女性は勇者を抱えてテントの中から消え去った。僧侶たちがテントの前に来たのがほぼ同時で、中に突入した時には遊牧民がいるだけだった。
僧侶「勇者さんはどこですか」
魔法使い「・・・おかしい。勇者の熱がここで途切れてる」
格闘家「どういうことッスか?」
魔法使い「転移魔法を使われたみたい・・・」
剣士「いったいどいつがこんなことを・・・」
遊牧民1「魔王の配下の四天王だっていう角の生えたでかい女が・・・」
遊牧民2「突然現れたと思ったら・・・」
僧侶「そもそもどうしてこの場所に勇者さんがいたのかということですが・・・」
剣士「今はこいつらをどうこうしてる場合じゃないだろう」
格闘家「魔王の配下に連れて行かれたっていうなら、行き先は魔王の城ッスね」
魔法使い「とにかく勇者を追いかけなきゃ」
Posted on 2014/12/30 Tue. 00:05 [edit]
category: 勇者と魔王
羊を見ながら羊を食う 
それが遊牧民的日常だと思われる。
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勇者一行は広大な草原地帯を歩いていた。あちこちに羊がいるが、それを管理しているらしい人物の姿は見えない。新種の魔物かとも思ったが、襲ってくる気配がないのでどうやらただの羊らしい。
勇者「けっこう歩いたなー・・・見渡す限り草草草・・・」
魔法使い「ここを抜ければ魔王の城まであと少しってかんじ?」
僧侶「けっこう近づいてきたようにも感じますが、同じような場所をぐるぐる回ってるような気もします」
剣士「羊ばかりだな・・・人間はいないのか?」
格闘家「そうっスねー。こいつら野良なんッスか?」
僧侶「毛の長さが一定にそろってるところを見ると飼育されているもののようですよ」
勇者「っつーことはこの近くに遊牧民でもいるのか?」
魔法使い「僧侶が言ってたけど、同じ場所グルグルしてたらいつまで経ってもここから出られないよ」
勇者「困ったな・・・」
???「ここらに人間が来るなんて珍しいな」
格闘家「羊が喋ったッス!」
遊牧民1「羊じゃねぇよ。れっきとした人間だ。んで?お前らどこから来た?」
勇者「遠い国から来た。」
遊牧民1「へぇ~面白いなお前。どこに行くんだ?」
勇者「魔王を倒しに魔王の城に行く」
遊牧民1「魔王~?お前ら無謀なことはやめとけ。女子だけで勝てるわけねぇよ」
僧侶「そういうわけにもいかないんです。」
魔法使い「できるかできないかじゃなくて、やらないとなんないの」
遊牧民1「なんか知らんが、大変なんだなー。」
勇者「ところで俺達さっきから似たようなところをぐるぐる回ってるようなんだけど」
遊牧民1「そりゃあアレだ。渦に入っちまったんだな。俺について来い。出口まで案内してやるよ。」
勇者「出口?」
遊牧民1「俺達がテントを張ってる場所まで行けば渦から出られる。」
僧侶「あなた達は渦の中で迷ったりしないんですか?」
遊牧民1「俺らはガキの頃から渦に入ったり出たりしてるからな。どうすりゃいいのか身体に染み付いてる」
魔法使い「とりあえずこの渦から出ないことにはどうにもならないみたいだし・・・」
僧侶「案内をお願いします」
遊牧民1「おう。まかせとけ」
勇者一行は遊牧民のテントがある場所まで案内してもらった。
遊牧民1「ここが俺らのテントだ。まぁ時間も時間だし、今夜はここに泊まっていくといい」
剣士「ありがたいが、我々は先を急いでいるんだ」
遊牧民1「こっから宿があるような場所まではけっこう距離があるし、夜行性の魔物だって出るかもしれないだろ?」
僧侶「それはそうですけど・・・」
遊牧民2「あれ?珍しいなー客人か?」
遊牧民3「人間が来るなんて久しぶりだなー」
遊牧民4「しかも美人ぞろいだし」
遊牧民1「お前らあんまりじろじろ見るんじゃねぇよ。失礼だろうが」
遊牧民2「まぁ何もないところだけどゆっくりしてってくれよな」
勇者「悪いけどのんびりしてる場合じゃないんだ」
遊牧民2「何焦ってるんだ?」
遊牧民1「魔王倒す旅の途中なんだとさ」
遊牧民3「やめとけって!魔王がどんなのか知らんけど、命がいくつあっても足りないって」
遊牧民1「俺も止めたんだけどな。どうしても行かなきゃならない理由があるんだと」
遊牧民4「行くなとは言わないからせめて一晩ぐらい泊まっていけよ。疲れがたまってると怪我とかするぞ」
格闘家「・・・確かにそれはあるかもッスね。」
僧侶「・・・ではお言葉に甘えて、休ませてもらいます」
勇者一行は一晩泊まっていくことにした。
勇者「けっこう歩いたなー・・・見渡す限り草草草・・・」
魔法使い「ここを抜ければ魔王の城まであと少しってかんじ?」
僧侶「けっこう近づいてきたようにも感じますが、同じような場所をぐるぐる回ってるような気もします」
剣士「羊ばかりだな・・・人間はいないのか?」
格闘家「そうっスねー。こいつら野良なんッスか?」
僧侶「毛の長さが一定にそろってるところを見ると飼育されているもののようですよ」
勇者「っつーことはこの近くに遊牧民でもいるのか?」
魔法使い「僧侶が言ってたけど、同じ場所グルグルしてたらいつまで経ってもここから出られないよ」
勇者「困ったな・・・」
???「ここらに人間が来るなんて珍しいな」
格闘家「羊が喋ったッス!」
遊牧民1「羊じゃねぇよ。れっきとした人間だ。んで?お前らどこから来た?」
勇者「遠い国から来た。」
遊牧民1「へぇ~面白いなお前。どこに行くんだ?」
勇者「魔王を倒しに魔王の城に行く」
遊牧民1「魔王~?お前ら無謀なことはやめとけ。女子だけで勝てるわけねぇよ」
僧侶「そういうわけにもいかないんです。」
魔法使い「できるかできないかじゃなくて、やらないとなんないの」
遊牧民1「なんか知らんが、大変なんだなー。」
勇者「ところで俺達さっきから似たようなところをぐるぐる回ってるようなんだけど」
遊牧民1「そりゃあアレだ。渦に入っちまったんだな。俺について来い。出口まで案内してやるよ。」
勇者「出口?」
遊牧民1「俺達がテントを張ってる場所まで行けば渦から出られる。」
僧侶「あなた達は渦の中で迷ったりしないんですか?」
遊牧民1「俺らはガキの頃から渦に入ったり出たりしてるからな。どうすりゃいいのか身体に染み付いてる」
魔法使い「とりあえずこの渦から出ないことにはどうにもならないみたいだし・・・」
僧侶「案内をお願いします」
遊牧民1「おう。まかせとけ」
勇者一行は遊牧民のテントがある場所まで案内してもらった。
遊牧民1「ここが俺らのテントだ。まぁ時間も時間だし、今夜はここに泊まっていくといい」
剣士「ありがたいが、我々は先を急いでいるんだ」
遊牧民1「こっから宿があるような場所まではけっこう距離があるし、夜行性の魔物だって出るかもしれないだろ?」
僧侶「それはそうですけど・・・」
遊牧民2「あれ?珍しいなー客人か?」
遊牧民3「人間が来るなんて久しぶりだなー」
遊牧民4「しかも美人ぞろいだし」
遊牧民1「お前らあんまりじろじろ見るんじゃねぇよ。失礼だろうが」
遊牧民2「まぁ何もないところだけどゆっくりしてってくれよな」
勇者「悪いけどのんびりしてる場合じゃないんだ」
遊牧民2「何焦ってるんだ?」
遊牧民1「魔王倒す旅の途中なんだとさ」
遊牧民3「やめとけって!魔王がどんなのか知らんけど、命がいくつあっても足りないって」
遊牧民1「俺も止めたんだけどな。どうしても行かなきゃならない理由があるんだと」
遊牧民4「行くなとは言わないからせめて一晩ぐらい泊まっていけよ。疲れがたまってると怪我とかするぞ」
格闘家「・・・確かにそれはあるかもッスね。」
僧侶「・・・ではお言葉に甘えて、休ませてもらいます」
勇者一行は一晩泊まっていくことにした。
Posted on 2014/12/28 Sun. 16:50 [edit]
category: 勇者と魔王
一難さってまた一難 
勇者一行は濃霧の中で謎のモンスターと遭遇し、そのまま戦闘に入った。姫の召喚と魔法使いの防御魔法を融合させた攻撃でモンスターを撃退することには成功したが、動く要塞の中から現れた兵士達に囲まれてしまった。
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兵士1「お前たちは何者だ!」
兵士2「怪しい術を使っていたな!」
兵士3「我々の敵か?!」
勇者「せっかくモンスター倒したってのに、なんだこの状況」
僧侶「あの方法でモンスターを撃退できたのまではよかったんですが・・・」
姫「まさかこのようなことになるなんて・・・」
魔法使い「っていうか、あのモンスター倒したことを感謝されこそすれ包囲される筋合いは無いんだけど」
格闘家「そうッスよ!こんなところでのろのろしてる場合じゃないんッスよ!」
兵士1「えぇい黙れ!あのモンスターを倒したことには礼を言うが、怪しい奴をこのまま行かせるわけにはいかん」
剣士「困ったものだな。どうすればいいと言うのだ。」
姫「私たちは怪しいものではありません。わけあって魔王の城に行く途中なのです」
兵士2「まっ魔王だとぅ?!」
兵士3「魔王の手下か!」
勇者「違うっつの!だいたい手下だったらさっきのモンスター倒すのおかしいだろ」
僧侶「私達は魔王を倒しに行く途中なんです。彼女が勇者です」
兵士1「こんな娘が勇者なわけが・・・」
勇者「あんま見せたくないけど仕方ないな。これが勇者の証だ」
勇者は胸元にある勇者の証である痣を見せた。
兵士1「まっ・・・間違いない!勇者の証だ・・・!」
兵士2「どうやら本物のようだな・・・」
兵士3「確かにすごい谷間だ」
兵士達は勇者の証の痣よりも勇者の谷間に釘付けだ。
勇者「これでいいだろ?」
兵士1「そ・・・そうだな」
兵士2「まぁいいだろう」
兵士3「いや?もしかしたら書いてあるだけかもしれない。触ってみないことには」
勇者「なんだよ疑り深いな・・・いいぜ?」
魔法使い「いいわけ無いでしょこのオバカ!」
魔法使いのツッコミが勇者に炸裂した
勇者「だって勇者の証が本物だって信じてもらえないと通れないんだぞ?」
僧侶「別に触らなくても照明する方法ならありますよ」
格闘家「確かめるとか言ってただ触りたいだけなんッスよ。変態の一種ッスよ」
剣士「けしからんな。」
兵士3「いやいやいやいや・・・決して邪な気持ちで言ってるわけじゃ」
姫「未婚の女性の胸部を触るなんて兵士として恥ずかしくは無いのですか」
いつのまにか兵士3が女の敵扱いされ始めたが兵士1と兵士2は助けようとしない。日ごろの行いが悪いからだろう。
僧侶「勇者であることは照明したので通っていいですね?」
兵士1「ああ。道中気をつけて」
勇者「お前らもな」
動く要塞と分かれた勇者一行は、モンスターが倒されたことによって霧の晴れた道を歩き出した。
兵士2「怪しい術を使っていたな!」
兵士3「我々の敵か?!」
勇者「せっかくモンスター倒したってのに、なんだこの状況」
僧侶「あの方法でモンスターを撃退できたのまではよかったんですが・・・」
姫「まさかこのようなことになるなんて・・・」
魔法使い「っていうか、あのモンスター倒したことを感謝されこそすれ包囲される筋合いは無いんだけど」
格闘家「そうッスよ!こんなところでのろのろしてる場合じゃないんッスよ!」
兵士1「えぇい黙れ!あのモンスターを倒したことには礼を言うが、怪しい奴をこのまま行かせるわけにはいかん」
剣士「困ったものだな。どうすればいいと言うのだ。」
姫「私たちは怪しいものではありません。わけあって魔王の城に行く途中なのです」
兵士2「まっ魔王だとぅ?!」
兵士3「魔王の手下か!」
勇者「違うっつの!だいたい手下だったらさっきのモンスター倒すのおかしいだろ」
僧侶「私達は魔王を倒しに行く途中なんです。彼女が勇者です」
兵士1「こんな娘が勇者なわけが・・・」
勇者「あんま見せたくないけど仕方ないな。これが勇者の証だ」
勇者は胸元にある勇者の証である痣を見せた。
兵士1「まっ・・・間違いない!勇者の証だ・・・!」
兵士2「どうやら本物のようだな・・・」
兵士3「確かにすごい谷間だ」
兵士達は勇者の証の痣よりも勇者の谷間に釘付けだ。
勇者「これでいいだろ?」
兵士1「そ・・・そうだな」
兵士2「まぁいいだろう」
兵士3「いや?もしかしたら書いてあるだけかもしれない。触ってみないことには」
勇者「なんだよ疑り深いな・・・いいぜ?」
魔法使い「いいわけ無いでしょこのオバカ!」
魔法使いのツッコミが勇者に炸裂した
勇者「だって勇者の証が本物だって信じてもらえないと通れないんだぞ?」
僧侶「別に触らなくても照明する方法ならありますよ」
格闘家「確かめるとか言ってただ触りたいだけなんッスよ。変態の一種ッスよ」
剣士「けしからんな。」
兵士3「いやいやいやいや・・・決して邪な気持ちで言ってるわけじゃ」
姫「未婚の女性の胸部を触るなんて兵士として恥ずかしくは無いのですか」
いつのまにか兵士3が女の敵扱いされ始めたが兵士1と兵士2は助けようとしない。日ごろの行いが悪いからだろう。
僧侶「勇者であることは照明したので通っていいですね?」
兵士1「ああ。道中気をつけて」
勇者「お前らもな」
動く要塞と分かれた勇者一行は、モンスターが倒されたことによって霧の晴れた道を歩き出した。
Posted on 2014/12/27 Sat. 22:34 [edit]
category: 勇者と魔王
世の中には二種類の人間がいる 
支配する方とされる方だ。
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「・・・っく・・・やっやめ・・・」
「まだ始まったばかりだろー?」
「おま・・・ひきょ・・・だぞ・・・うっ」
「なんだよ。全然余裕無いなー」
キリはニヤニヤしながら俺の方を見てくる。俺の方はというと手足を拘束されて動けないため抵抗することもできない。
「うごけない・・・からって・・・」
「だって動けるようにしたら抵抗するだろー?」
「お前の・・・疑問・・・・って・・・これの・・・ことだったのか?」
キリは人体のくすぐられると弱いところを執拗に攻撃してくる。さっきから俺は笑ってしまわないように耐えているが、けっこう辛いものがある。
「だってさーはじめはここ来た時から仏頂面だから、笑えるのか気になったんだってば」
「そのためだけに・・・ここまでするか・・・フツー?」
「いっそ笑っちゃえばいいのに」
「こんなこと・・・しなくても・・・笑える」
「じゃあなんで仏頂面のままなんだよー?」
喋りながらもキリは攻撃の手を止めない。足の裏や脇腹、首筋などを羽ぼうきのような物でくすぐってくる。
「むしろ・・・こんなことされて笑えるわけ・・・ないだろ」
「いいアイデアだと思ったんだけどなー」
「いいかげん・・・くすぐるのを・・・やめろ」
キリはそこで手をとめた。
「気が済んだならこの拘束を外してくれ。食い込んで痛い」
「やだ」
「は?」
「俺の疑問はまだ残ってるし」
「他に何があるんだ」
「それに・・・悪役に徹するならこんな中途半端で終わっちゃいかんしね」
「悪役に徹する必要は無いだろ・・それにさっきみたいな疑問ならわざわざこんなことしなくても」
「実際にやってみなきゃ分かんないじゃん。それに俺の疑問はいーっぱいあるしね?」
キリは鼻歌混じりに段ボール箱を漁っている。
「まさか・・・」
「そのまさかだよ」
「・・・だからまだ何も言って無いだろ」
「この段ボールの中身全部試すのか?って言いたいんでしょー?」
「それもある・・・けども」
「他の奴らにもやったのか?って言いたいの?だったら答えはイエスだよ」
キリがこっちを見ないからどんな表情をしてるのかは分からない。でも、声の調子を聞く限りでは新しい玩具を手に入れたこどものように楽しそうだ。この場合その玩具は俺なわけだが。
「お願いだから。あんまり簡単に壊れないでねー?」
振り向いたキリの表情を見て背筋が寒くなった。
「まだ始まったばかりだろー?」
「おま・・・ひきょ・・・だぞ・・・うっ」
「なんだよ。全然余裕無いなー」
キリはニヤニヤしながら俺の方を見てくる。俺の方はというと手足を拘束されて動けないため抵抗することもできない。
「うごけない・・・からって・・・」
「だって動けるようにしたら抵抗するだろー?」
「お前の・・・疑問・・・・って・・・これの・・・ことだったのか?」
キリは人体のくすぐられると弱いところを執拗に攻撃してくる。さっきから俺は笑ってしまわないように耐えているが、けっこう辛いものがある。
「だってさーはじめはここ来た時から仏頂面だから、笑えるのか気になったんだってば」
「そのためだけに・・・ここまでするか・・・フツー?」
「いっそ笑っちゃえばいいのに」
「こんなこと・・・しなくても・・・笑える」
「じゃあなんで仏頂面のままなんだよー?」
喋りながらもキリは攻撃の手を止めない。足の裏や脇腹、首筋などを羽ぼうきのような物でくすぐってくる。
「むしろ・・・こんなことされて笑えるわけ・・・ないだろ」
「いいアイデアだと思ったんだけどなー」
「いいかげん・・・くすぐるのを・・・やめろ」
キリはそこで手をとめた。
「気が済んだならこの拘束を外してくれ。食い込んで痛い」
「やだ」
「は?」
「俺の疑問はまだ残ってるし」
「他に何があるんだ」
「それに・・・悪役に徹するならこんな中途半端で終わっちゃいかんしね」
「悪役に徹する必要は無いだろ・・それにさっきみたいな疑問ならわざわざこんなことしなくても」
「実際にやってみなきゃ分かんないじゃん。それに俺の疑問はいーっぱいあるしね?」
キリは鼻歌混じりに段ボール箱を漁っている。
「まさか・・・」
「そのまさかだよ」
「・・・だからまだ何も言って無いだろ」
「この段ボールの中身全部試すのか?って言いたいんでしょー?」
「それもある・・・けども」
「他の奴らにもやったのか?って言いたいの?だったら答えはイエスだよ」
キリがこっちを見ないからどんな表情をしてるのかは分からない。でも、声の調子を聞く限りでは新しい玩具を手に入れたこどものように楽しそうだ。この場合その玩具は俺なわけだが。
「お願いだから。あんまり簡単に壊れないでねー?」
振り向いたキリの表情を見て背筋が寒くなった。
Posted on 2014/12/26 Fri. 11:21 [edit]
category: 倉庫
なんでもないようなことが 
幸せなんだと気づいた時にはもう遅い。
-- 続きを読む --
キリと同室になってから数日が過ぎた。錦やケイと同室だった頃のように、普通な日々が過ぎていったと思っていた。正直油断していた。
「・・・?」
目を覚ますと何故か俺の両手が頭の上で縛られていた。両足もベッドに縛り付けられている。
「おい・・・何のまねだ?」
「おはよう。」
「おはようじゃないだろ。なんで俺の手足を拘束してるのか説明しろ」
「なんで俺がやったと思うの?ひどくない?」
キリは傷ついたといった表情で俺を見てくる。
「お前がやったんじゃないなら誰がやったっていうんだ?」
「ピンク頭とか」
「なんで俺だけ縛ってお前を放っておくのか分からんのだが」
「俺が縄抜けしたかもしれないじゃん」
「・・・お前を縛っていたという縄が見当たらないんだが?」
「バレちまったらしょうがない」
「・・・で?なんでこんなことになってるのか説明してもらいたいんだが?」
「俺の疑問を解消するため」
「疑問ってまさか・・・」
「そのまさかだよ」
「・・・何も言って無いだろ。」
「いやー流れ的にはこう言った方がいいのかなって思ったんだけど?」
「よくある悪役のセリフだな」
「まーこれからしようとしてることを考えたら悪役かもね?」
キリがベッドの下から段ボール箱を取り出した。中に何が入っているのかは分からないが、キリのセリフを考えると嫌な予感しかしない。だからといってこの状況から脱出する方法も思い浮かばない。残念ながら俺に縄抜けのテクは無い。
「・・・悪役なお前はなにをするつもりなんだ・・・?」
「言っちゃったら面白くないだろー?」
「この状況になってる時点ですでに面白くないんだが」
キリは段ボール箱の中を漁っている。俺の位置からだと中身が見えないが、見えたところで状況が好転するわけではないので、極力考えないようにしておく。気分的には親不知を抜かれる前のものに近いが、なにをされるのか分かっている分歯医者の方がまだマシだ。好きか嫌いかという問題を除けば。
「・・・?」
目を覚ますと何故か俺の両手が頭の上で縛られていた。両足もベッドに縛り付けられている。
「おい・・・何のまねだ?」
「おはよう。」
「おはようじゃないだろ。なんで俺の手足を拘束してるのか説明しろ」
「なんで俺がやったと思うの?ひどくない?」
キリは傷ついたといった表情で俺を見てくる。
「お前がやったんじゃないなら誰がやったっていうんだ?」
「ピンク頭とか」
「なんで俺だけ縛ってお前を放っておくのか分からんのだが」
「俺が縄抜けしたかもしれないじゃん」
「・・・お前を縛っていたという縄が見当たらないんだが?」
「バレちまったらしょうがない」
「・・・で?なんでこんなことになってるのか説明してもらいたいんだが?」
「俺の疑問を解消するため」
「疑問ってまさか・・・」
「そのまさかだよ」
「・・・何も言って無いだろ。」
「いやー流れ的にはこう言った方がいいのかなって思ったんだけど?」
「よくある悪役のセリフだな」
「まーこれからしようとしてることを考えたら悪役かもね?」
キリがベッドの下から段ボール箱を取り出した。中に何が入っているのかは分からないが、キリのセリフを考えると嫌な予感しかしない。だからといってこの状況から脱出する方法も思い浮かばない。残念ながら俺に縄抜けのテクは無い。
「・・・悪役なお前はなにをするつもりなんだ・・・?」
「言っちゃったら面白くないだろー?」
「この状況になってる時点ですでに面白くないんだが」
キリは段ボール箱の中を漁っている。俺の位置からだと中身が見えないが、見えたところで状況が好転するわけではないので、極力考えないようにしておく。気分的には親不知を抜かれる前のものに近いが、なにをされるのか分かっている分歯医者の方がまだマシだ。好きか嫌いかという問題を除けば。
Posted on 2014/12/25 Thu. 17:24 [edit]
category: 倉庫
月に群雲花に風 
ちょうどいいところで邪魔が入るのは王道。
-- 続きを読む --
ピンク頭に連れられて今までいた部屋から違う部屋に移された。急なことであまり考えていなかったが、よく考えてみると何かおかしい気がしてきた。そもそも俺がここに連れてこられたのは金髪男が俺を気に入ったからとかなんとか言っていたような気がする。それなのに今はピンク頭の所にいる。一緒にいるヤツが替わることに何か意味があるのだろうか?
「なぁ?カイロウドウケツって知ってる?」
唐突にキリが話しかけてきた。
「なんだ急に。名前ぐらいしか知らんが」
「海の中にいるんだけどさ。そのカイロウドウケツの中にはエビがいるんだ」
「エビが?」
「二匹のエビがいるんだ。何の仕組みかは分からないけど、二匹入っちゃうと他のエビは入ってこれないんだよね」
「両方オスだったりメスだったりしたら悲惨だな?」
「そこなんだけどさ。どちらかの性別が変化してオスとメスになるようになってるらしいよ」
「へぇ・・・」
「なんか俺らの状況ってそれっぽいなーって思ってさ」
「どっちかが女になるなんてことはありえないけどな」
「ある日起きたら性別が変わってるかもよ?」
「そうなったら悪夢以外の何物でも無いな」
「もし女になるんだったら俺じゃなくてはじめだろうな」
「なんでそうなる」
「体格的にも雰囲気的にも俺のが男らしいし?」
残念なことに身長でも筋肉の量でも俺はキリには勝てそうに無い。測ったことが無いから分からないが、腕力や握力といったものも恐らくキリの方が上だろう。
「なぁ?攻めの反対ってなんだと思う?」
「は?守りだろ」
「まぁ普通はそうだよな。」
「他に何があるっていうんだ」
「受け」
キリの発言はいつだって唐突だし、その言葉にどんな意味があるのか俺には分からない。正直分かりたくない。
「なんで急にそういう話になる」
「一部の特殊な女子に人気らしいよ」
「どこからそういう情報手に入れるんだ・・・」
「たいていのことは本に書いてある。疑問なんだけどさ。男同士って気持ちいいのかな?」
「今まで一緒になったヤツにも聞いたのかソレ」
「聞いてみたけど経験者はいなかったなー」
「だろうな」
「やってみる?」
「ふぁ?!冗談だろう。何が悲しくてそん・・・」
「やってみないと分からないじゃん」
「他のヤツは・・・」
「断られた」
「当然の結果だな」
キリがなにを考えてこんなことを言うのか、一回頭の中を見てみたいものだ。
「なぁ?カイロウドウケツって知ってる?」
唐突にキリが話しかけてきた。
「なんだ急に。名前ぐらいしか知らんが」
「海の中にいるんだけどさ。そのカイロウドウケツの中にはエビがいるんだ」
「エビが?」
「二匹のエビがいるんだ。何の仕組みかは分からないけど、二匹入っちゃうと他のエビは入ってこれないんだよね」
「両方オスだったりメスだったりしたら悲惨だな?」
「そこなんだけどさ。どちらかの性別が変化してオスとメスになるようになってるらしいよ」
「へぇ・・・」
「なんか俺らの状況ってそれっぽいなーって思ってさ」
「どっちかが女になるなんてことはありえないけどな」
「ある日起きたら性別が変わってるかもよ?」
「そうなったら悪夢以外の何物でも無いな」
「もし女になるんだったら俺じゃなくてはじめだろうな」
「なんでそうなる」
「体格的にも雰囲気的にも俺のが男らしいし?」
残念なことに身長でも筋肉の量でも俺はキリには勝てそうに無い。測ったことが無いから分からないが、腕力や握力といったものも恐らくキリの方が上だろう。
「なぁ?攻めの反対ってなんだと思う?」
「は?守りだろ」
「まぁ普通はそうだよな。」
「他に何があるっていうんだ」
「受け」
キリの発言はいつだって唐突だし、その言葉にどんな意味があるのか俺には分からない。正直分かりたくない。
「なんで急にそういう話になる」
「一部の特殊な女子に人気らしいよ」
「どこからそういう情報手に入れるんだ・・・」
「たいていのことは本に書いてある。疑問なんだけどさ。男同士って気持ちいいのかな?」
「今まで一緒になったヤツにも聞いたのかソレ」
「聞いてみたけど経験者はいなかったなー」
「だろうな」
「やってみる?」
「ふぁ?!冗談だろう。何が悲しくてそん・・・」
「やってみないと分からないじゃん」
「他のヤツは・・・」
「断られた」
「当然の結果だな」
キリがなにを考えてこんなことを言うのか、一回頭の中を見てみたいものだ。
Posted on 2014/12/24 Wed. 06:15 [edit]
category: 倉庫
井の中の蛙大海を知らず 
知ったところで蛙が海水には入れるわけじゃないけどな
-- 続きを読む --
俺とケイが同室になってからどれぐらいの時間が経ったのか正直なところ分からない。錦といた頃よりも時間に対する意識が低下しているような気もするが、今が何月何日で、何時何分だと分かったところで俺達がここから出られるかどうかには関係ない。そして相変わらずケイは俺を描いている。
「・・・そろそろ僕らのコンビも解消されそうですね」
無表情でスケッチブックにペンを走らせながらケイが呟く。言っておくが、俺はコンビを組んだつもりはない。
「何で分かるんだ?」
「前に一緒だった人と分かれた頃もこれぐらいスケッチブックが貯まってましたから。時間にしたらそれぐらい経過してるということになるので、僕か君かのどちらかがここを出て行くことになります」
「そういうものなのか?」
「あくまでピンク頭の人の基準なので、あの金髪の人がどうするかまでは分かりませんけど」
「モモのところではそういう風になってたのか。まぁ、そろそろ入れ替えようと思ってた頃なんだけどさ」
いつの間にか金髪男が部屋に入ってきていた。その後ろには見慣れないピンク頭がいる。
「・・・もしかしなくても、その後ろにいるのがモモとかいう奴か?」
「さんを付けろ。これからは俺の管理下に置くんだからな」
「は?」
「は?じゃねぇよ。とりあえず付いて来い」
わけが分からないまま俺はピンク頭に連れられて部屋を出た。目隠しをされて連れてこられた部屋は最初にいた部屋よりも狭く、ベッドが二つだけというシンプルなものだった。
「さっさと入れ」
ピンク頭は俺を部屋に押し込むと何も言わずに去って行った。部屋の中には派手な赤毛の人物がいて、ベッドの上で雑誌を読んでいる。
「新入り?」
雑誌を読んでる体勢のまま赤毛の人物が話しかけてきた。
「・・・あぁ」
「まぁせいぜい仲良くしよう。俺のことはキリでいいから。」
「俺は・・・」
「はじめ」
「え?」
「ピンクのヤツがそう言ってたの聞いたんだけど、違った?」
「いや違わない」
「っていうかなんで髪白いの地毛?それともストレス?」
「地毛だ」
「へぇ~。まだ若いのにアレだな苦労してんだな?」
何か勘違いされてるようだが、説明するのも面倒なのでそのまま流すことにした。
「はじめは何歳?」
「27」
「見えないなー。」
「あんたは?」
「俺?んー・・・ぶっちゃけよく分かんない。こんな場所にいたら時間の観念おかしくなるし。20代かもしれないし30代かもしれない。ってか、敬語とかめんどくさいからそういうの無しの方向で」
今さら敬語に直すつもりも無いが、キリがどれぐらいの間この場所にいるのか気になった。
「俺の場合外にいた時間よりここにいる時間のが長いかもしれないなぁ?」
「・・・そろそろ僕らのコンビも解消されそうですね」
無表情でスケッチブックにペンを走らせながらケイが呟く。言っておくが、俺はコンビを組んだつもりはない。
「何で分かるんだ?」
「前に一緒だった人と分かれた頃もこれぐらいスケッチブックが貯まってましたから。時間にしたらそれぐらい経過してるということになるので、僕か君かのどちらかがここを出て行くことになります」
「そういうものなのか?」
「あくまでピンク頭の人の基準なので、あの金髪の人がどうするかまでは分かりませんけど」
「モモのところではそういう風になってたのか。まぁ、そろそろ入れ替えようと思ってた頃なんだけどさ」
いつの間にか金髪男が部屋に入ってきていた。その後ろには見慣れないピンク頭がいる。
「・・・もしかしなくても、その後ろにいるのがモモとかいう奴か?」
「さんを付けろ。これからは俺の管理下に置くんだからな」
「は?」
「は?じゃねぇよ。とりあえず付いて来い」
わけが分からないまま俺はピンク頭に連れられて部屋を出た。目隠しをされて連れてこられた部屋は最初にいた部屋よりも狭く、ベッドが二つだけというシンプルなものだった。
「さっさと入れ」
ピンク頭は俺を部屋に押し込むと何も言わずに去って行った。部屋の中には派手な赤毛の人物がいて、ベッドの上で雑誌を読んでいる。
「新入り?」
雑誌を読んでる体勢のまま赤毛の人物が話しかけてきた。
「・・・あぁ」
「まぁせいぜい仲良くしよう。俺のことはキリでいいから。」
「俺は・・・」
「はじめ」
「え?」
「ピンクのヤツがそう言ってたの聞いたんだけど、違った?」
「いや違わない」
「っていうかなんで髪白いの地毛?それともストレス?」
「地毛だ」
「へぇ~。まだ若いのにアレだな苦労してんだな?」
何か勘違いされてるようだが、説明するのも面倒なのでそのまま流すことにした。
「はじめは何歳?」
「27」
「見えないなー。」
「あんたは?」
「俺?んー・・・ぶっちゃけよく分かんない。こんな場所にいたら時間の観念おかしくなるし。20代かもしれないし30代かもしれない。ってか、敬語とかめんどくさいからそういうの無しの方向で」
今さら敬語に直すつもりも無いが、キリがどれぐらいの間この場所にいるのか気になった。
「俺の場合外にいた時間よりここにいる時間のが長いかもしれないなぁ?」
Posted on 2014/12/20 Sat. 00:46 [edit]
category: 倉庫
全米が泣いた 
でも俺は泣けなかった。
-- 続きを読む --
ケイと同じ部屋になってからけっこうな時間が流れた。ケイは錦のように人のベッドに侵入することは無いが、すきあらば絵を描いてばかりいる。そしてだいたい俺をモデルにしている。他に描く対象がないから仕方の無いことだが、寝顔とかはやめてほしいと思う。口には出さないが。
「いつも同じ背景同じ人物同じような構図だと飽きてくるので斬新なポーズをお願いします」
「斬新な・・・って一体俺になにを求めてるんだ?」
「意外性ですよ」
「ムチャブリにも程があるだろ」
錦が一緒にいた頃に面白いことをやってみろと言ったことがあったが、その時の錦の気持ちが今なんとなく分かったような気がした。したからといって別に反省するつもりはないが。
「じゃあ脱いでください」
「なんでそうなる」
「いい筋肉してるんで」
「意味が分からないんだが・・・」
正直な所部屋の中が寒いから必要以上に脱ぎたくないというのが本音だ
「全部脱げというわけじゃないですよ?」
「・・・というと?」
「靴下は脱がなくていいです」
「ただの変態じゃないか」
「それ面白いね」
いつの間にか金髪男が部屋に入ってきていた。
「絵が増えたねー」
金髪男は無造作に置かれたスケッチブックを拾って中を見ている。
「勝手に見ないでくれませんか」
ケイは嫌そうな顔でスケッチブックを金髪男から奪った。
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない?減るもんじゃなし」
「減る減らないの問題じゃないです。」
「上手なんだから人に見せたらいいのに」
「こんなところで描いて誰に見せろと?」
「僕とか」
「・・・」
ケイが鼻で笑った。一応受け答えはするが、気を許しているというわけでは無いらしい。
「ところでさっきの話だけど、脱ぐの脱がないの?」
「あんた(あなた)には関係ないだろ(でしょう)」
俺の声とケイの声が重なった。
「同時に拒否られるとさすがにショックだなぁ」
口ではそう言いながらもショックを受けているようには見えない顔をしている。
「拒絶されてないとでも思ってたんですか」
「拒絶されてたの?」
「今さら?!」
またケイと声が重なった。金髪男は表情を崩さない。
「いつも同じ背景同じ人物同じような構図だと飽きてくるので斬新なポーズをお願いします」
「斬新な・・・って一体俺になにを求めてるんだ?」
「意外性ですよ」
「ムチャブリにも程があるだろ」
錦が一緒にいた頃に面白いことをやってみろと言ったことがあったが、その時の錦の気持ちが今なんとなく分かったような気がした。したからといって別に反省するつもりはないが。
「じゃあ脱いでください」
「なんでそうなる」
「いい筋肉してるんで」
「意味が分からないんだが・・・」
正直な所部屋の中が寒いから必要以上に脱ぎたくないというのが本音だ
「全部脱げというわけじゃないですよ?」
「・・・というと?」
「靴下は脱がなくていいです」
「ただの変態じゃないか」
「それ面白いね」
いつの間にか金髪男が部屋に入ってきていた。
「絵が増えたねー」
金髪男は無造作に置かれたスケッチブックを拾って中を見ている。
「勝手に見ないでくれませんか」
ケイは嫌そうな顔でスケッチブックを金髪男から奪った。
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない?減るもんじゃなし」
「減る減らないの問題じゃないです。」
「上手なんだから人に見せたらいいのに」
「こんなところで描いて誰に見せろと?」
「僕とか」
「・・・」
ケイが鼻で笑った。一応受け答えはするが、気を許しているというわけでは無いらしい。
「ところでさっきの話だけど、脱ぐの脱がないの?」
「あんた(あなた)には関係ないだろ(でしょう)」
俺の声とケイの声が重なった。
「同時に拒否られるとさすがにショックだなぁ」
口ではそう言いながらもショックを受けているようには見えない顔をしている。
「拒絶されてないとでも思ってたんですか」
「拒絶されてたの?」
「今さら?!」
またケイと声が重なった。金髪男は表情を崩さない。
Posted on 2014/12/07 Sun. 17:01 [edit]
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