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爆心地

小心者の小心者による小心者のためのブログ

自分のことよりも優先させたくなる  

その感情を愛と呼ぶのかもしれない。
錦と入れ替わりでケイが来てから一日ぐらいは経ったように思える。錦がいたときにあった大型画面のテレビやゲーム機は無くなり、なぜか大量のスケッチブックと画材が持ってこられた。
「こんな場所でなにを描くんだ?」
「ハジメ君を描こうと思います」
「俺を?」
「自然にしててくれて大丈夫ですよ。」
「俺なんて描いても面白くないだろ」
「スタイルもいいですし、モデルでもやってたんですか?」
「いや。美容師をしてた」
「へぇ・・・ハジメ君に髪を切ってもらいたいっていう女の子は多かったでしょうね」
「そんなことも無いと思うが?」
話しながらもケイは手をとめない。
「それだけかっこよかったら、モテたんでしょうね?」
「残念ながら彼女がいたことは一度も無いな」
「意外ですね」
「そうか?」
「そうですよ。僕が女の子だったら好きになりそうですから」
「まだ会って間もないのに?」
「人間見た目が九割って誰かも言ってましたし」
「見た目だけか」
「目から入ってくる情報はけっこう大切ですよ。中身は付き合ってみないことには分からないですし」
「俺と付き合うと面倒くさいぞ」
「そうなんですか?」
「俺が女だったらこんなヤツとは付き合わない」
「自分のことこんなヤツって言っちゃだめですよ。」
「そうだよ。自分の評価低すぎじゃない?」
いつの間にか金髪男が入ってきていた。
「あんたいっつも突然だな」
「刺激があっていいでしょ」
「嫌な刺激だ。」
「アレ?絵描くんだね」
金髪男がケイの描いているスケッチブックを覗き込んだ。
「上手だね。誰かに教えてもらったのかな?」
「・・・」
ケイは俺とは話すが金髪男とは話そうとしない。
「僕とは話したくないかぁ・・・」
「・・・」
「ハジメ君とはけっこう話してるみたいなのにねぇ」
「・・・」
ケイは虫か何かを見るような目で金髪男を見ているが、金髪男は気にしていない。
「話したくないんだから無理に話させようとしなくてもいいだろ」
「大人なんだから言いたいことは自分で言わなきゃ」
「あなたとはしゃべりませんって言ったら、今しゃべったよねって言いそうだから黙ってるんだろ」
「そんなことしないよ?」
「・・・あなたはあのピンク頭の人の仲間なんでしょう。だったら、話すことなんて何もありません」
「確かにモモは僕の仲間だけど、それだけだよ?」
「坊主憎けりゃって言葉知ってます?」
「ん?」
「関係者ってだけで充分嫌う理由があるってことですよ。」
「そこまで嫌わなくてもいいじゃない」
「これだけのことしておいて嫌うなってのが無理じゃないか?」
「ハジメ君は僕のこと嫌いなのかな?」
「いつだって髪の毛ぶち抜いてやりたいと思ってる」
「過激だなぁ・・・」



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Posted on 2014/11/18 Tue. 23:17 [edit]

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