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小心者の小心者による小心者のためのブログ

羊を見ながら羊を食う  

それが遊牧民的日常だと思われる。
勇者一行は広大な草原地帯を歩いていた。あちこちに羊がいるが、それを管理しているらしい人物の姿は見えない。新種の魔物かとも思ったが、襲ってくる気配がないのでどうやらただの羊らしい。
勇者「けっこう歩いたなー・・・見渡す限り草草草・・・」
魔法使い「ここを抜ければ魔王の城まであと少しってかんじ?」
僧侶「けっこう近づいてきたようにも感じますが、同じような場所をぐるぐる回ってるような気もします」
剣士「羊ばかりだな・・・人間はいないのか?」
格闘家「そうっスねー。こいつら野良なんッスか?」
僧侶「毛の長さが一定にそろってるところを見ると飼育されているもののようですよ」
勇者「っつーことはこの近くに遊牧民でもいるのか?」
魔法使い「僧侶が言ってたけど、同じ場所グルグルしてたらいつまで経ってもここから出られないよ」
勇者「困ったな・・・」
???「ここらに人間が来るなんて珍しいな」
格闘家「羊が喋ったッス!」
遊牧民1「羊じゃねぇよ。れっきとした人間だ。んで?お前らどこから来た?」
勇者「遠い国から来た。」
遊牧民1「へぇ~面白いなお前。どこに行くんだ?」
勇者「魔王を倒しに魔王の城に行く」
遊牧民1「魔王~?お前ら無謀なことはやめとけ。女子だけで勝てるわけねぇよ」
僧侶「そういうわけにもいかないんです。」
魔法使い「できるかできないかじゃなくて、やらないとなんないの」
遊牧民1「なんか知らんが、大変なんだなー。」
勇者「ところで俺達さっきから似たようなところをぐるぐる回ってるようなんだけど」
遊牧民1「そりゃあアレだ。渦に入っちまったんだな。俺について来い。出口まで案内してやるよ。」
勇者「出口?」
遊牧民1「俺達がテントを張ってる場所まで行けば渦から出られる。」
僧侶「あなた達は渦の中で迷ったりしないんですか?」
遊牧民1「俺らはガキの頃から渦に入ったり出たりしてるからな。どうすりゃいいのか身体に染み付いてる」
魔法使い「とりあえずこの渦から出ないことにはどうにもならないみたいだし・・・」
僧侶「案内をお願いします」
遊牧民1「おう。まかせとけ」
勇者一行は遊牧民のテントがある場所まで案内してもらった。
遊牧民1「ここが俺らのテントだ。まぁ時間も時間だし、今夜はここに泊まっていくといい」
剣士「ありがたいが、我々は先を急いでいるんだ」
遊牧民1「こっから宿があるような場所まではけっこう距離があるし、夜行性の魔物だって出るかもしれないだろ?」
僧侶「それはそうですけど・・・」
遊牧民2「あれ?珍しいなー客人か?」
遊牧民3「人間が来るなんて久しぶりだなー」
遊牧民4「しかも美人ぞろいだし」
遊牧民1「お前らあんまりじろじろ見るんじゃねぇよ。失礼だろうが」
遊牧民2「まぁ何もないところだけどゆっくりしてってくれよな」
勇者「悪いけどのんびりしてる場合じゃないんだ」
遊牧民2「何焦ってるんだ?」
遊牧民1「魔王倒す旅の途中なんだとさ」
遊牧民3「やめとけって!魔王がどんなのか知らんけど、命がいくつあっても足りないって」
遊牧民1「俺も止めたんだけどな。どうしても行かなきゃならない理由があるんだと」
遊牧民4「行くなとは言わないからせめて一晩ぐらい泊まっていけよ。疲れがたまってると怪我とかするぞ」
格闘家「・・・確かにそれはあるかもッスね。」
僧侶「・・・ではお言葉に甘えて、休ませてもらいます」
勇者一行は一晩泊まっていくことにした。
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Posted on 2014/12/28 Sun. 16:50 [edit]

category: 勇者と魔王

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