爆心地

椿は桂と一緒に買い物に来ていた。

「椿ちゃんが双子だったなんてね～」
「生物学的に言ったらそうなるわね」
「でもでも～すごい偶然だねぇ。死んだ双子の結婚相手と子供が同じアパートの隣の部屋に住んでるなんて～」
「世間は広いようで狭いってことね」
「これからしょっちゅう顔合わせることになるのかぁ」
「そうなるでしょうね」
「っていうか、隣の部屋に音って聞こえてるのかなぁ？」
「多少は音漏れしてるかもしれないわね」
「やだぁ～椿ちゃんとの声聞かれちゃう～」
「馬鹿なこと言ってないでさっさと会計済ませるわよ」
「は～い★」
買い物を済ませてアパートの部屋に戻ると、隣の部屋の前にいたおばさんがこっちを見てきた。
『じろじろ見てんじゃねぇよ★』
『そういうことは思っても言っちゃダメでしょ？』
私たちの会話は中国語になってたから、聞かれてたとしても分からないだろう。
「桜・・・さん？」
そのタイミングでドアが開いて中からこどもが出てきた。
「ばーば！」
後ろからあの男も出てきた。
「母さん・・・来るなら前もって連絡・・・」
「義人・・・どういうことなのか説明してちょうだい」
「とにかく中に入って」
「ママ！」
「優も家に入ってなさい」
「桜さんは死んだのよね？」
「彼女は桜じゃない。」
「だって、どう見たって桜さんじゃない。優くんだってママって呼んでるし・・・」
「優は桜が死んだって分かってないんだ。」
「なんかめんどくさいことになりそうだから、中入ってよう？」
「ちょっと待ちなさい。あなただって無関係じゃないでしょう？」
「私は桜じゃないし、その人とは何の関係もありませんから」
「ママぁ～」
「詳しいことは俺が話すから、中に入ってくれ」
男はそう言っておばさんと子供を部屋に入れた。
「すみません。お騒がせして・・・」
桂が男の近くに言って何か言ってたけど、私の位置からじゃなにを言ったかまでは聞こえなかった。男は何も言わずに部屋の中に入っていった。
「あの人に何か言ったの？」
「ヒミツぅ～★早く中に入って片付けとかしちゃおう？」
「それもそうね・・・」
私たちは部屋に積まれた段ボールを片付けることにした。

Posted on 2012/04/09 Mon. 15:34 [edit]

category: 桜と椿

中国語で会話～～

お義母さん登場で、ますます波乱の予感？！

というか、この双子。。。

徹底的に相手の存在を話してなかったんですね～＾＾

Re: 中国語で会話～～

桜と椿の両親は双子が3歳の頃に離婚してるので、お互いの記憶もあまりないという・・・。
しかも椿は両親の離婚直後に父さんに連れられてアメリカに移住してますしねぇ・・・。
ちなみに椿は日本語・英語・中国語を話せます。桂は台湾に住んでたので中国語の方が母語ですね。